First time right formulation

乾式造粒を用いた処方開発の効率化

乾式造粒を用いた処方開発の効率化の問題点は、造粒物の再圧縮性が低いため打錠障害が起こりやすいこと、賦形剤の流動性が悪いため造粒が進めにくいこと、製造条件の変動により製剤特性が変化しやすいことなど3つがあります。SuperTab 21ANとPharmacel 102は、それぞれが65%と35%の割合で乾式造粒用処方の頑健性が高くて、最初から適切な賦形剤ブレンドになります。この賦形剤ブレンドを用いて、それぞれの問題点を解消する一方で、処方開発の効率化により製剤開発コストを削減することが可能になります。。

 

乾式造粒は、混合粉体を高圧で圧縮して得られたリボンやフレークをミルで破砕し、整粒する造粒プロセスです。湿式造粒に比べて、水などの結合液を使わないため乾燥工程を省けたり連続造粒したりするなどのメリットがあります。ただし、処方設計に以下の問題点があるため、処方開発の効率が低いと思われます。

  • 造粒物の再圧縮性が低いため打錠障害が起こりやすくて、ダウンタイムが増加します。
  • 賦形剤の流動性が悪いため造粒が進めにくいので造粒の効率が低いです。
  • 製造条件の変動により製剤特性が変化しやすいので、逸脱発生の可能性が高いです。

そこで、頑健な処方を効率的に開発するため、最初から適切な賦形剤(ブレンド)を選択することが非常に重要です。

 

三つのステップを通して最初から適切な賦形剤ブレンドを検討しました。

ステップ①では、スラッグ法で無水乳糖SuperTab 21ANと結晶セルロースPharmacel 102のブレンドを選択しました。SuperTab 21ANは脆性物質で成形性が比較的高くて、再圧縮性にも優れています。Pharmacel 102は塑性変形物質で、成形性は極めて高いです。両賦形剤のブレンドにより、乾式造粒用処方に高い成形性と再圧縮性を付与することが可能です。

ステップ②では、ラボスケールでブレンドにSuperTab 21ANPharmacel 102の割合を検討しました。SuperTab 21ANPharmacel 10250%以下に配合する賦形剤ブレンドは、造粒が進めやすくて、含量均一性を保証することができます。

ステップ➂は、パイロットスケールで最も頑健なSuperTab 21ANPharmacel 102のブレンド割合の検討でした。SuperTab 21ANPharmacel 102は、それぞれが65%と35%の割合で顆粒密度や錠剤硬度・重量のバラツキを最大限に抑制し、安定した製剤品質を確保することが可能になります。

 

ステップ①では、無水乳糖SuperTab 21AN、篩過乳糖Pharmatose 125M、スプレードライ乳糖SuperTab 11SD、結晶セルロースPharmacel 102などの4種類をそれぞれ用いてスラッグ法で造粒して打錠しました。賦形剤の再圧縮性を評価するため、造粒していないパウダーを直接打錠しました。一般造粒物(相対密度(RD=0.6~0.8)と、細粉を取り除いた造粒物(RD=0.9fs)と、造粒していないパウダーをそれぞれ打錠して、錠剤硬度を打錠圧に対してプロットしました。造粒物のプロットがパウダーと重なる場合、賦形剤の再圧縮性が高くて、乾式造粒において圧縮成形性の損失が少ないことが示されます。

SuperTab 21ANは、造粒物がパウダーと同等の錠剤硬度があるので、優れた再圧縮性が示されました。これにより、造粒時に成形性損失により生じた打錠障害を防止できると考えられます。また、SuperTab 21ANは、流動性が良好であり、造粒が進めやすいです。さらに、水分含量が非常に低いため、水に不安定な薬物に適します。Pharmatose 125Mは、造粒後の成形性損失が少ないですが、結晶乳糖であるため本来の成形性が理想的とは言えません。SuperTab 11SDは、直打用乳糖ですが、造粒物を打錠する際に圧縮成形性の損失が発生しました。Pharmacel 102は、スプレードライ乳糖と同様に再圧縮性減少傾向にありますが、直接打錠した錠剤は他の添加剤より硬度が非常に高くて、極めて高い成形性が示されました。SuperTab 21ANPharmacel 102の賦形剤ブレンドにより、乾式造粒用の処方が高い成形性と再圧縮性を併せ持つことが可能になります。

 

ステップ②でラボ用乾式造粒機を用いてSuperTab 21ANPharmacel 102の賦形剤ブレンドを造粒して、その造粒物の打錠性を検討しました。造粒の処方では、モデル薬物はプロプラノロール塩酸塩を55%、滑沢剤はステアリン酸マグネシウムを0.5%としました。賦形剤は、SuperTab 21ANと、SuperTab 21AN 50+Pharmacel 102 50%のブレンドと、Pharmacel 1023種類で、それぞれが45.5%で添加されました。乾式造粒において、ラボ用乾式造粒機(IR220 Chilsonator, Fitzpatrick)を用いて、ロール圧4.2kN/cm、ロール回転速度 3 RPM、ナイフローター(グラニューレーター)の回転速度1600RPM、スクリーンサイズ1㎜で造粒しました。造粒物に0.3%フュームドシリカを添加し、直径9mm250 mgの隅角平錠を作製しました。

乾式造粒の1時間あたりの処理量(㎏)により、Pharmacel 102の配合量の増加に伴い、造粒の効率が下がりました。処理速度の最も高いSuperTab 21ANと比較して、Pharmacel 1021時間あたりの処理量が19%低下しました。錠剤重量のバラツキでは、SuperTab 21ANSuperTab 21AN 50+Pharmacel 102 50%のブレンド<Pharmacel 102の小さい順になりました。SuperTab 21ANの錠剤は、重量RSD1%程度で、最も高い均一性が示されました。錠剤の破断強度では、無水乳糖SuperTab 21ANの処方は、5kNの打錠圧で錠剤硬度が100 N以上でしたが、打錠圧の増加に伴い、錠剤硬度が下がりました。それに対して、ブレンド処方は、いずれの打錠圧で錠剤硬度が100 N以上で、高い錠剤硬度が示されました。結晶セルロースの配合により、適正な打錠圧範囲が広がり、打錠障害のリスクが軽減することができます。造粒効率と錠剤重量の均一性を向上するため、Pharmacel 10250%以下に配合するSuperTab 21ANの賦形剤ブレンドを推奨します。

 

最も頑健なSuperTab 21ANPharmacel 102のブレンド割合を検討するため、ステップ➂にパイロットスケールでプラセボ顆粒を作製しました。造粒の賦形剤は、それぞれがSuperTab 21AN100%)、SuperTab 21ANPharmacel10265:35%)のブレンド、SuperTab 21ANPharmacel10255%:45%)のブレンドになりました。乾式造粒において、ローラーコンパクター(IR520 Chilsonator, Fitzpatrick)を用いて、ロール圧が2.110.5 kN/cmに調整し、回転速度が6 RPMに設定しました。グラニューレーターに、ナイフローターを装着し、回転速度が800 rpmに設定し、スクリーンサイズが1mmにしました。造粒物は、直径9 mm隅角平面ツーリングで250 mgの錠剤を打錠しました。ロール圧が0の場合、パウダーを直接打錠しました。

SuperTab 21AN100%)を造粒する場合、ロール圧の増加に伴い、顆粒サイズとかさ密度は、いずれが小さくなりました。SuperTab 21ANPharmacel 102ブレンド処方の場合、顆粒サイズも減少しましたが、かさ密度が安定傾向にあります。特に、SuperTab 21ANPharmacel10265:35%)の処方は、タップ密度の変動も少ないので、ロール圧の変化による顆粒密度への影響が小さいことが示されました。

 

各処方の乾式顆粒を打錠して得られた錠剤特性を測定、比較しました。打錠は、直径9 mm隅角平面ツーリングで250 mgの錠剤としました。

異なるロール圧で製造された乾式顆粒を同一打錠圧で打錠する際に、いずれの処方は錠剤硬度のバラツキが小さいでした。ロール圧の変化がSuperTab 21ANおよびそのブレンド処方の錠剤硬度に及ぼす影響が小さいと考えられます。また、同一顆粒をそれぞれの打錠圧で打錠する場合、SuperTab 21ANPharmacel 102のブレンド処方は錠剤硬度が100 N以上で、十分な錠剤硬度があることが示されました。

SuperTab 21AN100%)の処方は、ロール圧の増加に伴い、錠剤重量のバラツキが小さくなりましたが、RSDが約1.5%にとどまったので、バラツキが比較的に高いでした。それに対して、SuperTab 21ANPharmacel 10265:35%)のブレンド処方は、いずれのロール圧で最小レベルのバラツキを示し、特に、中・低ロール圧(6.3 kN/cm以下)で造粒する際に、錠剤重量のRSD1%以内に抑制できることが認められました。また、このブレンド処方は、各打錠圧で錠剤重量のバラツキが小さくて高い含量均一性が示唆されました。

 

SuperTab 21ANPharmacel 102は、それぞれが65%と35%の割合で、造粒が進めやすくて安定した顆粒密度が得られます。錠剤が十分な硬度、かつ、安定であり、打錠障害の防止にも役立てます。また、錠剤の重さが一定で、含量均一性を保証することが示唆されます。以上のことから、SuperTab 21ANPharmacel 10265%:35%)は、乾式造粒における処方の頑健性が高くて、最初から適切な賦形剤ブレンドとなります。

 

Q1:乾式造粒において、溶出に最も適切な結晶セルロースと無水乳糖の割合を検討したことありますでしょうか。

今回の発表の目的は、再圧縮性が高い添加剤により乾式造粒における錠剤硬度低下の問題点を解決することです。そのため、処方には崩壊剤が含まれないし、溶出の評価は行っていませんでした。また、溶出性に影響する要因の一つは、顆粒の強度であると思いますが、残念ながら今回は測定しませんでした。

 

Q2:無水乳糖75%結晶セルロース25%の検討結果はありますでしょうか。

無水乳糖75%と結晶セルロース25%との評価結果について、以下の文献にご参照ください。

https://dfepharma.com/-/media/documents/technical-documents/technical-papers/re-compaction-properties-of-anhydrous-lactose-and-mcc.pdf

 

Q3:無水乳糖や結晶セルロースのグレード検討はしておりますでしょうか。

弊社には、無水乳糖がSuperTab 21AN22AN24AN、結晶セルロースがPharmacel 101102112で、それぞれ3つのグレードがあります。今回の発表では、SuperTab 21ANPharmacel 102のみが使用されました。

 

Q4:打錠障害を回避できることの根拠データはありますでしょうか。

今回の発表でご紹介された打錠障害は2つがあります。

  • 結晶セルロースを用いた乾式造粒する場合は、乾式造粒時に成形性損失により錠剤硬度が下がって、打錠障害が起こりやすいと言われています。そのため、スライド4ページ目に示されたように、無水乳糖は成形性と再圧縮性が良好で、それにより造粒後に錠剤硬度の減少が少ないので打錠障害が回避することが可能です。
  • 超高含量処方に成形性の悪い原薬の影響が大きいため、打錠圧の増加に伴い、錠剤硬度の低減により発生したキャッピングです。そこで、スライド5ページ目で成形性の極めて高い結晶セルロースを50%以下で添加すると、打錠圧に対して錠剤硬度が安定していたことが認められました。

 

Q5:顆粒内の乳糖水和物を上げると、顆粒流動性の悪化と打錠圧バラツキを引き起こす経験がありましたが、今回の無水乳糖は添加率を上げてもバラツキは悪化しないということでしょうか

無水乳糖は、流動性と成形性が高くて、篩過、粉砕乳糖(乳糖水和物)より造粒が進めやすいと考えられます。そのため、添加率を上げる場合、顆粒流動性や打錠圧バラツキが悪化しないと推測します。