直打用乳糖と結晶セルロースの配合処方の最適化について

 直接打錠法(直打法)において、流動性と成形性を兼ね備えたSuperTab® 30GRとPharmacel® 102 の配合(75:25 %w/w)を直打の出発処方として提案します。また、流動性と成形性のバンランスを取るため、直打用乳糖の種類、およびその乳糖と結晶セルロースの配合を最適化することを推奨します。スケールアップや量産化の際に開発段階で設計された錠剤特性を維持するには、配合処方の滑沢混合・圧縮停滞時間に対する感度を確認しておくことが非常に重要です。

 


錠剤の製造において、直接打錠法(直打法)は、水分や熱に不安定な薬物の製造に適し、一次粒子にまで迅速に崩壊する良好な崩壊性と溶出性が期待できることや、造粒・乾燥プロセスなどの省略によるコスト削減につながるなどのメリットがあるため、医薬品産業では、製造方法の第1選択といわれています。

錠剤の生産効率を紹介するため、2つの直打法の事例に対して、弊社の直打製造コスト計算モデルにより、湿式顆粒打錠法と直打法の生産効率はそれぞれ試算しました。1つ目は高価な原薬のモデルケースです。湿式顆粒打錠法に比べて、直打法は、短縮した製造プロセスにより、高価な原薬のロスを減少し、全体の製造コストを22%削減できるということです。2つ目は年間一億錠以上のモデルケースです。直打法では、直打用添加剤によるコスト増の見込みがありますが、製造操作の著しい削減とともに全体的に13%のコストダウンが可能です。直打法による高い生産効率を維持することには、高品質かつ供給安定な添加剤は欠かせません。

弊社では、SuperTab®直打用乳糖をはじめ、結晶セルロース(Pharmacel®)、デンプングリコール酸ナトリウム(Primojel®)とクロスカルメロースナトリウム(Primellose®)などのスーパー崩壊剤、デンプン製品などの直打用添加剤を取り扱っています。幅広い直打製品群により、添加剤供給業務をワンストップでお引き受けすることで、製剤の生産効率の向上に貢献します。

直打法を順調に進めるため、添加剤の流動性は非常に重要です。これは、混合工程での混合効果、打錠工程での充填均一性などの工程内管理(IPC)に影響を与え、生産効率に直接つながります。また、直打法では、バインダー液の添加がないため、添加剤の成形性も不可欠です。

流動性と成形性を兼ね備えた、SuperTab® 30GRとPharmacel® 102の配合(75:25 %w/w)を直打の出発処方として提案します。
また、Supertab直打用乳糖の成形性について、以下の通りであります:SuperTab® 24AN>21AN>30GR>11SD。SuperTab® 21ANと24ANは、無水乳糖なので、通常の乳糖水和物より、高い成形性があります。SuperTab® 11SDはスプレードライ乳糖で、成形性が30GRよりやや弱いですが、特殊な粒子表面構造により含量均一性への確保効果があるため、極めて低含量の処方に適します。
また、結晶セルロースの配合量に対して、直打用乳糖処方の流動性を検討しました。造粒無水乳糖SuperTab® 24ANと造粒乳糖SuperTab® 30GRの場合は、Pharmacel® 102の配合量の増加に伴い流動性が悪くなりました。スプレードライ乳糖SuperTab® 11SDと無水乳糖SuperTab® 21ANは、Pharmacel® 102の配合量が50%まで増加しても、流動性には大きい変化がなりませんでした。ただし、Pharmacel® 102が50%以上を増加しますと、いずれの直打用乳糖の処方は流動性が下がって、極めて流動しやすい範囲から流動性しやすい範囲に入りました。このようなことから、直打による製剤生産効率を向上させるため、直打用乳糖の種類、及びその乳糖と結晶セルロースの配合を最適化することを薦めます。

錠剤の硬度は、開発段階で良好ですが、量産化の時に下がって、打錠障害をもたらすことがあります。主な原因は添加剤によるものを考えられます。処方設計には、錠剤特性におよぼす添加剤の2つの影響があります。
1点目は、滑沢剤に対する感度です。滑沢剤感度指数(LSI)を用いて、SuperTab®乳糖とPharmacel®の配合処方の滑沢剤感度を評価しました:LSI = ((TCSA – TCSB)/TCSA) × 100%。TCSAとは0.25%w/w ステアリン酸マグネシウムと2分間混合で製造された錠剤の破断強度で、TCSBとは2% w/w ステアリン酸マグネシウムと30分間混合で製造された錠剤の破断強度です。滑沢剤感度指数は高いほど、滑沢剤への感度が高くなり、量産化する時錠剤の硬度低下のリスクが高くなります。結晶セルロースの配合量が25%の場合、造粒グレードのSuperTab® 24ANと30GRは、滑沢剤への感度が低くて、より安定した錠剤硬度を得られることが可能です。結晶セルロースの配合量が50%の場合、造粒グレードのSuperTab® 24ANと30GRは、滑沢剤への感度が高くなり、錠剤硬度の変化の可能性があることにご留意ください。

2点目は、打錠工程内での圧縮停滞時間対する感度です。圧縮停滞時間50 ミリ秒(低速:研究開発用打錠機)および5 ミリ秒(高速:製造用打錠機)のPhoenix社製加圧成形シミュレーターを用いて、打錠圧に対する錠剤の引張強度をプロットし、打錠挙動を検討しました。SuperTab®直打用乳糖の場合、いずれの圧縮停滞時間でも、錠剤の引張強度は安定することを示しています。結晶セルロースPharmacel® 102の場合は、5ミリ秒の圧縮停滞時間で得られた錠剤は、50ミリ秒より、引張強度が著しく下がっていることが分かりました。これは、高速打錠で圧縮停滞時間が短いため、塑性の粒子同士の結合は不十分だと考えられます。この添加剤の2点の影響により、設計された錠剤特性を維持するため、直打用乳糖と結晶セルロースの配合についての検討は開発段階で早めに着手することも非常に重要です。